創業事業者支援レポートVol.3 はり・きゅうRoom FIKA(フィーカ)

創業支援

FIKA(フィーカ)とは、スウェーデン語で「仕事中の休息」または「おやつ時間、コーヒーブレイク」を意味する単語。忙しい日々を送る現代女性を癒したい……。そんな思いから「はり・きゅうRoom FIKA」は須賀川市でスタートした。

オーナー 根本さん

清潔感のあるプライベートな空間で癒しを提供したい

FIKAは、2018年5月須賀川市大町にオープンした。車通りの多い道から外れた路地に建つ、特徴的なデザインのビル。白い外壁に水色のドアがFIKAの目印だ。「ドアの色が水色だったので、それを生かして店内の色を統一しました。イメージは北欧系です。清潔感のある美しさ、ゆったりと流れる時間、女性の社会進出が進んでいる場所、という点が、私たちが考える店のコンセプトにぴったりだなと思ったんです」と話すのはオーナーの根本さんだ。FIKAのコンセプトは、忙しい現代女性がふらりと訪れてくつろぐことが出来る場所を提供すること。エステやマッサージによくありがちな「今だと何日が空いていますが、次はいつにしますか?ご予約はお早めに!」というスタンスとは少し違う。「頑張りすぎない治療院を目指しています。時間に余裕がある時、自分が来られる時でいい、というフランクな感じかな。たまに来て心と体を休めてほしいという思いが一番です」という気張らなさ。それがFIKAらしさなのかもしれない。プライベート感を意識した施術室は、自分たちで建具にペンキを塗ったという。店内の家具も知り合いの旦那さんの手作りで、温もりを感じる木製の丸テーブルは、特にお気に入りだ。

2人でやりたいね、という思いから始まった「FIKA」

FIKAは2人の女性オーナーによる共同経営だ。「始まった当初は、女2人で大丈夫?と心配されました(笑)」と根本さん。静かに話を聞いていたもうひとりのオーナーである安田さんもつられて笑う。「私たちはもともと自由にやっていましたし、お互い子供がいるので状況が理解できます。何かあってもどちらかに店を預けて抜けられるのは良い点ですね」とうまく支え合っている様子。気の合う女同士の絆ほど心強いものはないのではないだろうか。そもそも創業に至ったきっかけは、同じ専門学校を卒業して別々に働いていた2人が同じ鍼灸院で働き始めたことだった。「2011年に一緒に勤めていたお店がうまくいかなくなって、それで2人でやりたいね、ってことになったんです」と根本さん。もちろん創業の経験などなかった。一般的に創業する上で大きな課題となるのは、イニシャルコスト(初期費用や導入費用のこと)。最初は実店舗を持つことなく、「往診」という形で高齢者のお宅訪問を中心とした針診療から始めた。地道に活動を続けながら、2015年にあるイベントと出会ったことで小さな変化が起こる。それが須賀川市の路地裏散策をテーマとした人気マルシェ「Rojima」だった。

オーナー 安田さん

Rojimaでの地道な営業活動がFIKAの大きな一歩となった

FIKAにとって、初めて出店したイベントがRojimaだった。「Rojimaに出るようになってかなり変化がありました。徐々に知名度が上がって「お店はどこなの?」と聞かれるようになったんです。私たちが提供している技術は、自分に合うかどうか試してもらわないことには何も始まらないですよね。Rojimaのようなイベントは、かかる時間も短く料金もお手頃なので、体験するのに最適なんです。そういう利点を生かして、施術を体感してもらえたのがよかったです」と手応えを感じ始めた当時を振り返る。Rojimaで掴んだ固定客が、別イベントに出店すると遊びに来てくれるようになったことも、自分たちのブースに足を運んでくれる方々とコミュニケーションを密にとってきた結果なのだろう。次第に増えるFIKAに対する期待の言葉が2人の心境にさらなる変化を起こした。「イベントと往診を掛け持ちしていましたが、自分たちを頼りにしてくれるお客様が増えたことで実店舗を持つ必要性を感じるようになりました。こういう職種にはよくあることですが、はりやお灸は本当に技術がちゃんとしているのか、怪しまれることがあるんです。そういう意味でも、実店舗があった方が信頼を得やすく仕事がしやすいし、提供できる施術の幅が広がるのではないかと思うようになりました」と根本さん。Rojimaを宣伝の窓口として活用しながら、2人の創業準備が始まった。

物件を探し求めた末に辿り着いた須賀川市

今までの勤務地であったことから、まずは郡山市で物件探しを始めたが、なかなかうまくはいかなかった。「駐車場がなかったり、家賃が高かったりと希望に合う物件が見つかりませんでした。そんな時、須賀川市に良い創業支援制度があると聞いて調べ始めたんです」と安田さん。しかし、そういった制度の下調べにも苦戦した。「補助金の知識や申請方法などの細かい情報が集まらなくて困りました。どうしようか?と2人ですごく悩みました」と根本さんも口を揃える。そうして辿り着いたのが、創業支援事業の相談窓口になっている須賀川市役所の商工労政課だった。「Rojimaに出店していたこともあり、私たちの意図をすぐにくみ取ってもらえました。担当の方にも親身になってもらって、中心市街地の空き物件情報なら、と紹介されたのがこぷろさんでした」。まちづくり会社であるこぷろ須賀川が、まちに根付いた会社だからこそ提供できることの一つが、リアルタイムの空き物件情報だ。不動産会社で扱われることのない空き物件は実際に街中を歩き、独自のルートで情報収集に励んでいる。FIKAの事業内容や2人の希望を出来る限りピックアップし、こぷろから今の物件を紹介するに至った。「決め手は、ずばり駐車場代が安かったからです(笑)私たちが受けたかった家賃補助は申請から半年後にしか適応にならなかったので、いろいろ考えて補助金制度対象外だった(ここの)物件を選びました。何よりも譲れない条件は、駐車しやすいことだったんです」と須賀川市で創業を決めた理由を話してくれた。目立つ場所にある物件でないこと、ふらりと入りにくい環境であることは心配の種だったが、今ではとても気に入っているという。「市が指定する中心市街地からは少し外れていますが、場所の説明はしやすいし、簡単に覚えてもらえると思います。飲食店と違って事前に予約を入れて来て下さるので、私たちのような業種に合った良い物件です」と満足そうな表情。2人が考えていた物件選びの条件は、来店するお客様のために利便性を優先したい、という強い思いから生まれたものだった。

創業してみて、今思うこと

2018年5月の創業から半年以上がすぎ、今、2人が感じていることは何なのか。まずは苦労している点を聞いてみた。「やはりお金の面が一番不安です。少しずつ軌道に乗ってきていますが、まだまだ順調だとは言い切れません。創業は身の丈に合ったスタートを切ることが大事だな、と改めて感じました」と根本さん。さらに、働くことに対しての意識も大きく変わったという。「給料を貰っていた頃とは、責任の重さが全然違います。ただ、以前働いていた鍼灸院でもオーナーに経営の相談を持ち掛けられたりして、積極的に携わっていた経験があったんです。不安なことはたくさんありましたが、創業するために何が必要で、行動するべきことが何なのか感覚的に分かっていました」と苦労を苦労と感じさせない言葉が印象的だ。次に、創業して良かった点は何だろうか。「実店舗を持ったことによって、FIKAの信用度と価値を上げることが出来ました。それは私たちの技術に対しても同じことが言えます。プロとして技術を提供してお金をもらう、そういう全ての証明になったと思います」。現在、店舗で案内しているメニューの構成も自分たちで考えている。「毎回かなり迷走します(笑)でも、お客様に必要なものを組み合わせたり、料金設定も自分たちで的確に決められるのは良いですよね。喜んでもらえると2人で悩んで良かったなと思います」。日々の小さな積み重ねがFIKAのファンを虜にしているようだ。

FIKAは女性たちの強い味方でありたい

最後にFIKAの展望を聞いてみた。「今は、往診で利益を上げている状態ですが、徐々に店舗の方へシフトしていこうと頑張っています。今後は「店舗」「往診」「イベント」の3つの軸で利益を上げていくことが目標です」と根本さん。また、FIKAをもっと広く知ってもらうため、広告に力を入れていく予定だ。「(すかっとやarukuなどの)フリーペーパーに紹介してもらうと反応がすごいんです。(フリーペーパーの)それぞれが読者層、読まれている地域に強さを持っていて媒体の力を感じました。これからも活用したいと思っています」。それだけにとどまらず、インスタグラムやフェイスブックをこまめに更新することで、自分たちから情報発信していくことも欠かさない。メニューの紹介やお知らせだけでなく、日常のちょっとした出来事もアップされていて、とても親近感がある。「私たちは経営者ですが、FIKAは「主婦のおこづかいで来られるお店であること」が大前提なんです。常にお客様の目線に立つこと。私たちが大切にしている感覚です」。さらには、こんな頼もしい発言も。「創業すると決めた時、どこかに相談したい気持ちをずっと抱えていました。私たちの経験が誰かの力になったらいいなと思います。創業に迷ったら、まずはFIKAに相談しに来て!(笑)」と満面の笑み。FIKAに行けば、疲れた体を癒してもらえて、心まで軽くしてもらえる。これからもFIKAは、悩み多き現代女性たちの強い味方、だろう。

はり・きゅうRoom FIKA(フィーカ)

住所:須賀川市大町414-3

営業時間:10:00~18:00

定休日:日、祝日

予約方法:090-6258-4345(完全予約制/予約は前日までに)

【公式HP】https://harikyuuroomfika.amebaownd.com/?fbclid=IwAR1ifOwS4lHrFn9t6nNuaoFofOXZJufvM0D1bGFhiH_TpLSE-36JrhbT24M

【公式FB】https://www.facebook.com/pages/category/Beauty–Cosmetic—Personal-Care/はりきゅうRoom-FIKA-370961516733643/